アルゼンチンへ 食文化と移住生活

アルゼンチンに渡った父子の日々の刺激と食習慣のこと

それはアルゼンチン人指導者との出会い

 

・アルゼンチン人の指導者との出会い

 

『サッカーのまち浦和』で育った我が家。義理の弟もサッカーに勤しみ一度だけアルゼンチンに来ていたことは聞いていた。その時の仲介してくれた指導者が後に我が家のアルゼンチン移住のきっかけを作る大きな存在へと変わっていく。

 

幼少期の話になるが、日本にはBOCAJAPANというサッカースクールが存在する。

名前だけは知っている程度の認識だったが、アルゼンチン人がスペイン語で指導をする本格的なものだとは思ってもいなかった。

長男が小学校低学年、次男は保育園に通う頃なのでサッカーというよりも習い事レベルで通い始めたのがきっかけだったし、外国語に触れてほしいとの思いに変わっていったのを覚えている。

 

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『サッカーの目的はゴールである』

本当に当時の目的が明確で、日本特有の習い事のそれとは一風変わったものだった。真剣さの先にある楽しさを追求している、そんな雰囲気を醸していた。

 

 

・『真面目にやれ!』と喝が入った

 

当時で次男は5歳。サッカースクールとはいえ、好きか嫌いかもわからないまま兄の影響で通っていたから不真面目さも際立っていた。このくらいの子供の操縦は難しいもので、大人の許容を試されるようなものでもある。

スペイン語で指導する中で事件が起こる。なぜか日本語で『真面目にやれ!』と檄が飛んだのである。きっかけはわからない、でもうちの次男が檄の対象であることは間違いなかったようだった。

何があってもその時間は、親が口をはさむ時間ではないのでお任せしたが、おそらく統制が乱れることをやらかしたのだと思う。一瞬のことで曖昧な記憶だが、終わったらお詫びしておこうと思ったことは間違いない。

 

 

・面白いヤツにしか面白いプレーはできない

 

そこには通訳係も存在する。当然スペイン語なので途中で通訳しながらの指導になる。その方もアルゼンチン人で、保護者とのコミュニケーションもできる方だったのでさっきのお詫びにお声がけした。

『問題ないよ』南米特有のポジティブな返答だった。お詫びするようなことではなく、ふざけてしまうのは普通にあることで、そういう指導が必要ならする、とのこと。

その後の言葉が衝撃だった。『面白いヤツにしか面白いプレーはできない』その言葉をうちの次男に向けて言ってくれたのである。特に好きでやってるわけでもない5歳の子供をそういう目で見ていることが衝撃だったのである。

サッカーを通じて子供の主体性まで見ているんだと感心した。親や子供に嫌われないように忖度するのではなく、教育の目線で見てくれていると実感した瞬間だった。

そして、その指導者とは義理の弟が世話になった方の甥にあたる方であったことを整理しているうちに気づいていくのである。

 

・そして兄弟ともにサッカーにのめり込む

 

それは必然だった。サッカーのクラブチームに所属してほぼサッカーのみの生活に染まっていったのである。小学2年生から一人で電車で練習に通うこともあり、ハプニングだらけでもあったが、いい経験だった気がする。

ボカで培った基礎的な動きも、この頃のサッカーには大きく貢献しており、幼少時のトレーニングも意味あるものであることを実感していた。

 

 

・Jリーグクラブのセレクションに挑戦

 

それは数百名規模のセレクション。何度か受けていたので場慣れしてきたこともあり、残り数名の最終セレクションまで進むことも多くなってきた。

これが一か月近くにわたるセレクションで、付き添い側も疲弊していくのがわかる。毎回合否の連絡を待つのが段々苦痛に変わっていくのと、ケガできないプレッシャーを親も感じるまでだった。

結果は全て最終止まり。あるチームからの説明は「体が小さい」というのが理由だった。小学生だから、極端には20センチくらいの身長差がつくことがある。どんな技術でも体格差で劣れば競争に残れないということだった。

そうなると背が小さいことがハンデであると言われた気がしてしまう。一か月の結論が身長差で終わるという何とも言えない後味の悪い結果となった。

 

 

・サッカーに身長差は関係ないって言える国があった

 

ふとしたきっかけで、義理の兄がお世話になったアルゼンチン人コーチとセレクションの話をすることができた。その方の言葉が「身長は関係ない」まさにそれだった。

今の小学世代の身長差は今だけのもの。今大きいとされる子供も大人になればほぼ同じ身長差になるということ。今だけのアドバンテージで評価しているだけのこと。

確かにアルゼンチンの名選手には、得てして体格に恵まれていない選手が多い気がする。非常に説得力のある言葉だった。急にアルゼンチンでやってみたいって気持ちが芽生えた瞬間でもあった気がする。